オフサイト、即ち僻地には僻地の効用があります。国際会議で有名なのはダボス会議ですが、ダボスはかなりの僻地です。出来ることと云えばスキーぐらいで、或る意味で全くつまらない町です。しかしそこに大規模な国際会議をする理由があります。他にすることもないし、隣の町まで遊びに行くのも大変なので、或る意味でしょうがないから数日間も議論に没頭する訳です。圧力が上がって何かが生まれる。そういう仕掛けです。

9・11の直後に一度だけマンハッタンでダボス会議を開いたことがありましたが、電話は入る、すぐにでもビジネス・ミーティングに出掛けられる、公私に亘って用事はいくらでも作れる、と云うことで拡散してしまって、今一つの会議でした。各企業でも、「オフサイト・ミーティング」と称して本拠地から離れてビジネスプラン・ミーティングなどを開くのは、同じ理由です。(場合によってはレクリエーション中心の場合もあるようですが。。。)

オフサイトの効果はカジノ経営にも表れています。経営的に成功しているアメリカのカジノは、砂漠の真ん中など、なるべく僻地に設営されています。儲かっても簡単には外には行けない。或いは家族がカジノ併設のブティックや遊園地で消費する。そういう仕組みでカジノ・テリトリーの中にお金が残るように工夫されています。ロンドンのカジノなどは街なかにあるので、儲かるとすぐにカジノから出て飲みに行ったりしてしまう為、経営が安定しません。このように「僻地」という一見なんのトクもない事象にも、効用はあるものです。
しかしどんな場合でも、経済的効用を上げる為には、何かしらの方法で密度を上げることが肝要です。当社に於いても、社内の密度・圧力を高める工夫を、継続的にしていきたいと考えています。