為替の動きはいつもとても難解なものです。最近のドルの動きも、そのひとつでしょう。元々ある問題は、米国の大幅な貿易赤字です。米国のGDPの75%は貿易の対象にならないもの、25%が輸出、32%が輸入。その結果、GDPの7%という大幅な貿易赤字となり、それがドル安を進めています。しかしこれは同時に、GDPの107%も需要があると云うことで、それだけ米国の経済の調子がいいと云うことですから、何処か皮肉な感じがします。
金利の引き上げが止まるだろうと云うことが、米国への資本の流入を減らすという観測を生み、ドル安を更に進めたようでもあります。しかし世界の経済が回復する中で、その恩恵を最も受けるのはやはり大国アメリカですから、米国の株式は順調に上げ続けており、この部分では引き続き資本の流入がありそうです。
要は様々なファクターがあるので、一概に『必ず為替はどちらに動く』と言い切れるものではないと思います。しかし何かが変わり、ドルの動きに変化が出ました。グリーンスパンの退任に伴う米連銀に対する信認の低下、もしくは信認のテストでしょうか?為替は世界中の様々な主体の思惑のるつぼです。為替の動きの裏側に何があるのかを慎重に探るのは、中々興味深いものです。