東京で6年ぶりに黄砂が観測されました。オフィスの西側の窓から外を見ると確かに視界が悪く、太陽も薄いシルクスクリーン越しに見るように、ぼやけて見えました。小さい頃に見た黄砂は、もっと大胆に黄色くておどろおどろしい感じがしましたが、今日の黄砂は光化学スモッグのようでした。
黄砂現象は古からあった筈ですが、私の記憶する限りでは、黄砂を詠った歌は万葉集にも古今集にもないと思います。何故でしょう?雷の歌もかなり少ないですし、不吉な感じのする自然現象や、恐怖の念と云うものは、基本的に歌として詠まなかったのでしょうか。和歌は自然現象などに触発された人の気持ちを詠むもので、「恐い」と云う気持ちはある意味で恥ずかしいものであり、貴族が愛でて詠う対象とはならなかったのでしょうか。折角の春ですから、早く抜けるような青空に戻って貰いたいものです。