日銀が本日、「平成18年度の考査の実施方針等について」発表しました。これは銀行に対する考査の方針を表したものですが、とても良く整理されていると思います。詳細は報道や日銀のホームページで確認して頂ければと思いますが、要は今後金利の上昇なども予想されるので、リスクの計量、特に金利に関するリスクの計量モデルを充実すべしと云うものです。

我が国では長い間金利が限りなくゼロに近付き、しかも殆ど動かない状況が続いていたので、或る意味では金利に関するリスク管理をしていてもしていなくても、結果はあまり変わりませんでした。しかしこれからは金利にも動きが出始めるので、その前にリスク管理体制を強くして準備させようと云う趣旨です。

地震のない国とある国とでは、当然建物に要求される構造強度が違います。地震のない国で、地震国用のビルを建てていたら、コストが高くなりすぎて競争力を失います。我が国では不良債権問題の解決のために、超低金利&不動金利という体制で、銀行の(少なくとも金利に関する)リスク管理をする必要性を(即ちコストを)大幅に減らし、その結果競争力を付けて再生させました。そしてようやく通常の世界に戻る前に、構造強度をきちんと確認しようと云うことでしょう。

これは大変分かり易い。と云うことは逆に、構造点検が終わるまでは、金利はあまり動かせないと云うことでしょう。日銀の考え方やコミュニケーションの仕方は、とてもプロフェッショナルで、感心させられることの多いこの頃です。