本田宗一郎さんによると「国の保護を受けたものでいいものは一つもない」そうです。全くその通りだと思います。金融や通信など、保護を受けた産業は、一般に日本でしか通用しない会社になってしまいました。農業なども同じ範疇にはいるでしょう。伝統あるコメの先物の復活が見送られるそうですが、それも同根の一現象だと思います。
一方で国の保護を全く受けなかったオートバイやカメラ、エレキなどは世界制覇を果たしました。保護されると、工夫すること、知恵を絞ることをやめてしまうのでしょう。国のお金の使い方という視点から見ると、競争力を付けるための予算と、補助輪を付けて競争力を付けさせない予算とがあることが分かります。税金を自らの国民の力を下げるために使うというのは、大変よろしくないことだと思います。もちろんこの論法はかなり乱暴で論点を単純化しすぎており、実際には色々と考慮しなければいけないことが多くあり、簡単には言えないことも分かっていますが、ザックリ言うと、一般に保護政策のメリットはあまりないと思っています。
右肩上がり成長が続いていた我が国では、個人の老後の経済面についても、保護政策が取られてきたと言えるでしょう。公的年金、確定給付年金、退職金優遇税制、などです。しかしここ数年、国はこれらの(個人の老後の経済面に関する)保護政策の終了を目論んできました。公的年金の縮小、確定拠出年金への移行、退職金優遇税制の見直し等です。今までの我が国の産業に於ける歴史を見ると、保護を外された個人は、恐らく急速に自らの老後経済面対策を身に付けていくことでしょう。それは即ち、金融・投資教育に対するニーズが大きく上昇することを意味しています。
今日は実質新年度二日目ですが、この新しい年度で私たちがマネックス・ユニバーシティを通して実現しようとしていることは、そんな環境認識に根ざしています。