先週の中国株ですが、上海総合指数は続落、深セン総合指数は続伸、創業板指数と香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数ですが、週初の3月6日(月)はマイナス圏からのスタートでしたが、全人代で大気汚染解消に向け、鉄鋼生産能力を5,000万トン、石炭生産能力を1億5,000万トン以上削減する方針が示されたことが好感され、鉄鋼、石炭関連が上昇し、株価を牽引しました。7日(火)も中国人民銀行(中央銀行)が中期貸出制度(MLF)を通じて国内銀行システムに資金を供給したことや全人代の政策期待で続伸。

ところが8日(水)は反落。2月の貿易収支で、輸入が38.1%増となり1月実績の16.7%増や市場平均予想の20.0%増を大幅に上回り、その一方で輸出が1.3%減と、1月実績の7.9%増や市場平均予想の14.0%増を大幅に下回ったことから、大幅な貿易赤字になったことが原因です。米国の利上げが迫る中、徐々に人民元が切り下がっていることが相場の重しとなっています。さらに9日(木)も続落。原油価格の急落を背景に石油株が下落。さらに、2月の消費者物価指数が0.8%増と1月の2.5%増、市場平均予想の1.7%増よりも低水準に留まったこと、中国の資金調達総額が1兆1,500億元と、1月の3兆7,400億元、市場予想の1兆4,500億元と比較して低水準に留まるなど、幾分弱い中国の経済指標が市場心理を冷やしました。その流れが10日(金)も継続して3日続落となり、結果、上海総合指数は前週末比0.2%安の3212.76ポイントとなっています。

香港株も週初、全人代の政策絡みで、中国本土の鉄鋼株や石炭株が上昇。また、金利マージンの拡大が期待されて本土銀行株が買い戻されました。ただ、携帯の長距離料金配信方針が発表され、通信株は下落。7日(火)と8日(水)も続伸となったのですが、9日(木)は原油価格の急落で石油株が下がったことと、中国本土経済指標が弱いことから利食い売りが先行して反落。10日(金)は欧州中央銀行(ECD)のドラギ総裁がユーロ圏の景気回復が勢いを増しているとコメントしたことが市場心理を明るくして反発となりました。結局、香港ハンセン指数は前週末比で0.1%高の23568.67ポイントとなっています。

先週の中国株は小動きでしたが、その理由は今週に米国のFOMCやオランダの大統領選挙、米国の債務上限引き上げ問題などを控えていたためでしょう。そして、その結果によっては、一時的に株価が下落する可能性もあります。しかし、中国では依然として政策期待が根強いことなどを考えますと、下落したところは購入のチャンスとなる可能性もあると思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)