先週の中国株ですが、上海総合指数と香港ハンセン指数は続伸、深セン総合指数と創業板指数は反落となりました。上海総合指数ですが、週初の13日(月)から続伸となり、強い基調が継続しました。先々週にもお伝えしましたが、トランプ米大統領が「一つの中国」政策を尊重する見解を示したことから、米中摩擦懸念が後退したことが背景としてあります。また、中国人民銀が7営業日ぶりにリバースレポを再開し、市場に1,000億元の資金供給を行ったことが金融引締め懸念を後退させ、市場心理を改善しました。
14日(火)も続伸。この日は朝方に発表となった中国の1月の消費者物価指数(CPI)が2.5%増と、12月実績の2.1%増や市場平均予想の2.4%増を上回ったことから金融引き締め懸念が再燃し、利食い売りが先行しました。しかし、1月のCPIが上昇したのは旧正月の影響という認識が拡がった他、3月の全人代での政策期待も下支えとなり、終盤でプラス圏に切り返しました。15日(水)は反落となりましたが、16日(木)は中国人民銀がリバースレポを行って市場に資金供給をしたことから市場心理が改善して反発。17日(金)も最初はその強い基調が継続しましたが、徐々に利食い売りに押されて急反落となりました。ただし、週間の上海総合指数は前週末比0.2%高の3202.075ポイントとなっています。
香港ハンセン指数は上海総合指数よりも更に強い動きになっています。香港の株式市場は昨年末に上値の重いじれったい相場となっていましたが、先々週から動きが一変し、出来高を増した上昇で、先週は一段高の展開となりました。17日(金)こそ利益確定売りを浴びましたが、注目に値する動きとなっています。この背景には、欧米の株式市場の上昇が継続していることと、米中摩擦懸念の後退や中国株の上昇があります。セクター別には中国のイールドカーブのベアスティープ化(イールドカーブ全体が上昇し、かつ、曲線の傾きが急になること)によって中国の銀行の収益が改善するのではないかとの大手証券会社のレポートが出たことなどから、中国本土の銀行株が強い推移となって株価上昇を牽引しています。
今週の中国の経済指標ですが、22日(水)に1月の不動産価格の発表があります。また、米国上場企業ではありますが、検索最大手の百度(ナスダック上場、BIDU)と中国版のツイッターとも言える微博(ナスダック上場、WB)の決算発表が予定されており、中国ネット企業の業績の先行きを予想する上でも、注目できると思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)