先週の中国株ですが、上海総合指数は反発、深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は続落となりました。週初の1月16日(月)の中国本土市場はパニック売りの急落から始まりました。理由は2つあります。1つは2016年12月の中国の機械・電機製品の輸出が落ち込んだこと、もう1つは新規株式公開(IPO)を後押しするような当局者のコメントが出たことです。これらがキッカケとなり機械・電機製品の成長株が多く上場し、高いバリエーションまで買い進まれている深セン総合指数や創業板指数が急落し、その余波を受けて上海総合指数も取引終了約1時間前に急落しました。ただし、上海総合指数はその後、政府系ファンドによる買い支えがあった様子で長い下髭を付ける形で終値は小幅安で終わっています。しかし、たとえば創業板指数は一時前日比6.1%安まで下落し、終値も3.6%安で引けています。

17日(火)も一時、急速に売りが拡がる場面がありましたが、急速に戻して終値では反発。この日も政府系ファンドや金融会社の買い支えが入ったとの観測があり、大型株だけでなく、深セン総合指数、創業板指数の買い支えにも乗り出したとの観測が出ています。その後、18日(水)~19日(木)は、ダボスで開催中の世界経済フォーラム年次総会に習近平国家主席が参加している間は中国当局が相場安定を図るとの観測が広がり、一進一退の展開に。しかし、20日(金)は株価指数先物取引の取引制限を緩和する可能性があるとの報道や預金準備率の引き下げの可能性があるとの報道が株価を押し上げました。また、中国国家統計局が20日(金)に発表した10-12月期の中国のGDPが前年同期比6.8%増となり、1-9月の6.7%を上回ったことも好感されました。結局上海総合指数は前週末比で+0.3%の上昇となったものの、深セン総合指数は-1.8%の下落、創業版指数は-1.0%の下落となっています。

一方、香港ハンセン指数は続落。こちらは中国本土株とは違う値動きになっています。週初は中国本土株の急落で反落からのスタートとなったのですが、中国本土株が政府系ファンドの買い支えなどで切り返すと、海外市場が好調であることもあって、18日(水)には大幅上昇となり、一時、2016年11月1日(火)以来の高値を付けました。ただし、米国FRBのイエレン議長が利上げに肯定的な発言をしたことや、米国の財務長官候補スティーブン・ムニューチン氏が「強いドル」を強調したことから米国の金利先高感が高まり、これが市場心理を悪化させて、19日(木)~20日(金)は株価が下落し、結局、香港ハンセン指数は前週末比で-0.2%の小幅安となっています。

今週ですが、いよいよ旧正月が来週に迫ってきたことから、売買代金は低調に推移しそうです。中国本土株は先週の余波はあるものの、当局が各種対策を打ち出していることから落ち着いた値動きとなるのではないでしょうか。一方、香港市場も旧正月前の手仕舞い売り圧力があることや、米国金利上昇懸念が燻れば引き続き株価には悪影響を及ぼしそうですが、今週は旧正月の長期連休前となりますので、方向感は出にくいかと予想します。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)