先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数はそろって続落となりました。上海総合指数ですが、週初19日(月)は小幅続落からスタートとなり、20日(火)も続落となりました。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースの見通しを引き上げる中で、ドル高・人民元安が継続。引き続き中国からの資金流出懸念が継続しました。また、債券価格が急落し、金利が高騰していることも株価下落の背景の1つです。中国当局は金融緩和を背景に行われている投機行為を抑制しようとしています。具体的には資金の調達条件を厳しくするため、短期金利を高めに誘導してきたわけです。しかし、結果的に資金確保の為の国債売りが増加したり、金融機関が資金不足に陥るのではないかとの懸念が浮上。このために短期金利が急騰して、当局は逆に資金供給をする必要に迫られています。

21日(水)は反発となり、22日(木)も小幅続伸となりました。前述の懸念は続いているものの、21日(水)は国務院の国有資産監督管理委員会(国資委)が民間に国有企業の資産取得を認める混合所有制改革を推進する方針を発表したことから、国有企業改革が推進されるとの期待感が改めて浮上し、石油会社や航空会社などの国有企業改革関連が買われました。ただ、21日(水)には習近平国家主席が不動産バブルを抑え込む必要があるとの方針を示したことが国営ラジオで伝えられ、不動産バブル崩壊や経済減速が懸念され、株価の上昇も限定的なものとなりました。そして23日(金)はやはり当局の投機抑制が懸念され株価は反落となっています。もっとも下げ幅は小幅であり、上海総合指数は前週末比で0.4%安の3,110.154ポイントとなりました。

一方、香港ハンセン指数ですが、こちらは中国本土株よりも弱い動きとなり、週を通して軟調な株価推移が継続した印象です。米国の利上げペース引き上げの影響で、米国への資金環流や中国からの資金流出懸念が引き続き懸念されました。中国の債権利回り急騰も嫌気されています。また、中国本土市場もそうですが、26日(月)と27日(火)がクリスマスの連休で休場となることから、連休前の手仕舞い売りも先行。結局、香港ハンセン指数は前週末比2.0%安の21,574.76ポイントとなっています。

さて、2016年の最終週を迎える中で、軟調な株価推移の続く香港株ですが、香港ドルが米ドルにペッグしている以上、米国の利上げというネガティブ要素は免れられないと思います。また、トランプ米国新大統領の政策が直接香港の景気を上げてくれる訳ではありません。従って今のような相場状況は止むを得ないところと思います。しかし、短期的な株価推移は弱いのですが、香港ハンセン指数、香港H株指数の200日移動平均線の角度は下向きから上向きへと変わってきており、長期には良い押し目位置になる可能性も残っていると思います。ちなみに、香港の一等地を多数保有する地場優良不動産株などは、PBRは過去最低レベルとなってきており、配当利回りも4%程度の魅力的な水準となってきています。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)