先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数は週初の12日(月)に急落し、その後も週を通して軟調な推移となりました。12日(月)は中国保険監督管理委員会が中国の大手不動産開発会社である中国恒大集団傘下の恒大人寿保険に対して、委託株式投資を一時中止するよう指示したと発表したことが原因。理由は規律違反です。これが保険資金の株式市場からの逃避を連想させ、株価下落につながり、同日の上海総合指数は約1,000銘柄が下落という全面安となりました。

13日(火)は原油価格が1年5ヶ月ぶりの高値となったことから、中国石油などが上昇し、小反発となりましたが、14日(水)は再び中国保険監督管理委員会が保険会社に対し、上場会社を買収する際には事前承認を義務付ける新規制を導入する方針を発表したことから、保険資金の株式市場からの逃避が懸念されて反落。さらに15日(木)は米国のFOMCで利上げが実施された影響から人民元が急落し、中国からの資金流出懸念が高まって続落。16日(金)は中国人民銀行(中央銀行)が流動性の逼迫を緩和するために金融機関に緊急融資を実施したことから市場心理が和らぎ、反発となりました。結局、上海総合指数は前週末比で3.4%安の3,122.981ポイントで引けています。チャートを見ると、50日移動平均線を割り込み、9月にも支持線となった100日移動平均線まで調整してきたところです。

一方、香港ハンセン指数ですが、こちらも12日(月)は大幅続落からのスタートとなりました。当初は反発からのスタートだったのですが、前述のとおり、保険会社への投資規制で本土上場株が大幅下落したことに引っ張られた印象です。米国の利上げが迫っていたことも市場心理を圧迫していました。それでも、13日(火)と14日(水)は反発となったのですが、15日(木)は米国の利上げをキッカケに米国への資金流出懸念が高まって本土系の保険株や銀行株などが大幅下落となった他、金利上昇の悪影響を受ける香港の不動産株などが売られて急反落なりました。16日(金)も資金流出懸念から小幅続落となり、香港ハンセン指数は前週末比3.3%安の22,020.75ポイントで引けています。

今週は特に大きな中国の経済指標の発表はありません。懸念材料は、下げ止まり感の出ていない人民元安で、これが続くようですと引き続き中国からの資金流出が懸念され、相場の圧迫材料となりそうです。もっとも、中国の経済指標自体は悪くなく、たとえば、13日(火)に発表された11月の鉱工業生産は前年比で6.2%増と、10月の6.1%増を上回りましたし、小売売上高も10.8%増と、こちらも10月の10.0%増を上回っています。また、11月の新規人民元貸出額も7946億元と10月の6,513億元よりも拡大しています。上海総合指数は100日移動平均線を割り込まないかどうかが焦点となるでしょう。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)