先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数ですが、週初の12月5日(月)から大幅続落でスタート。イタリア国民投票が金融市場にとって良くない結果となったことに加え、この日に始まった深港通が鈍い出足となったことが、先々週金曜日の弱い流れを加速させ、引き続きインフラ株、証券株に利食い売りが膨らみました。中国の経済指標としては11月のCaixinサービス業購買担当者景気指数が53.1と10月の52.4よりも加速して1年4ヶ月振りの高水準となりましたが、株価への影響は限られました。

6日(火)は中国の保険資金の株式投資への規制報道から保険株が売られた他、原油価格の反落から石油株も売られ、小幅続落となりました。しかし、7日(水)は前場終了間際にプラスに転じると、後場はそのまま上げ続けました。とくにこれといって大きな材料はでていませんが、株価が25日移動平均線に達する中で押し目買いが出たところと考えます。売られていた保険株にも見直しの買いが入っています。8日(木)は11月末時点の外貨準備残高が5ヶ月連続の減少となり、5年半振りの低水準となったことから、中国の資金流出懸念が拡大して反落。しかしながら、この日に発表になった、中国の11月の輸出が5.9%増(人民元ベース)と10月実績の3.2%減を大幅に上回ったことから株価の下げ幅も限定的でした。そして、9日(金)は、この日に発表された中国の11月の生産者物価指数が前年比で3.3%増となり、10月の1.2%増を大きく上回ったことなどから市場心理が改善され、反発。原油価格の上昇に伴い石油株が買われたことも追い風でした。結局、上海総合指数は前週末比で0.3%安の3,232.88ポイントで引けています。

一方、香港ハンセン指数ですが、こちらも5日(月)は続落からのスタートとなりました。やはり、イタリア国民投票の結果が思わしく無かったことと同日から開始された深港通の出足が鈍かったことが、市場心理に影を落としました。その後は欧米の株式市場好調のムードを引き継ぎ、HSBC(00005)や香港や中国の銀行株が主導する形での緩やかな上昇が続きましたが、9日(金)は中国カード決済最大手の中国銀聯がマカオでの現金自動預払機(ATM)においてカードで引き出せる現金額を半分に引き下げられる見通しとの報道(ただし、中国銀聯は報道を否定)からカジノ株が急落。さらに、中国当局が海外への資金流出を警戒しているとの懸念に繋がり、香港ハンセン指数も反落となりました。週間では0.9%高の22,760.98ポイントとなっています。

先週は反落となった上海総合指数ですが、内容はそれほど悪くなく、上昇相場中の小幅調整と言った感じがあります。今週は中国の11月のマネーサプライや鉱工業生産、小売売上高などが発表される予定ですが、こちらの数字がしっかりした数字となるなら、中国本土株も反発してくると見ます。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)