今年は、夜桜を含めて何回か花見をすることが出来ました。わざわざ出掛けたりもしたのですが、一番印象に残っているのは、週末に成田から乗った京成電車の車窓から眺めた風景です。

日本では、桜の名所でなくとも、至る所に桜の木があります。ちょっとした土手にも小さな桜並木が。街の小さな公園のブランコの脇にも桜の木が一本。普通の民家の軒先にも小さめの桜が一本。桜にも色々な種類がありますし、同じ種類でも花の色に微妙な濃淡があったりします。更に桜に限らず、杏や李(すもも)などの似た花も咲いていたりします。そういった様々な花が、様々な趣で何気なく咲いているのが、日本の花見の独特の『味』ではないでしょうか。

確か古い歌にも詠まれていたと思いますが、何の変哲もない小高い山の中腹に、緑の中に一本だけ桜が咲いているのは、何とも言えず情緒豊かで心が打たれるものです。今年は期待通りに素晴らしい桜でした。

週末の東京では素敵な桜吹雪が舞っていましたが、今日からは雨で、あっという間に桜の存在感は消えていってます。しかしそれがまた、桜の美しさを増します。桜というと日本の花の中では最も派手な部類に属すると思いますが、それでもやはりこのように限定的でDiminishingな所にその美しさが隠れているというのが、日本文化の真髄でしょうか。