友人の松江泰治なるものが「gazetteer」(地名辞典)なる写真集を出版しました。彼と私は中学から大学までの同窓生で、高校時代には私が写真部の部長、彼が会計をした仲です。何故か今では私は証券会社の社長をし、彼は現代美術写真作家をしています。
彼は大学を出てから一度も「お勤め」をしたことがなく、作品が全く売れない頃からバイトも一切しないで、ヒモのような生活をしながら芸術活動に専念してきました。3年前に木村伊兵衛賞を獲り、国内外の美術館にもコレクションされている立派な写真芸術家です。私は幼稚園生の頃から黒白フィルムの現像をダークバックに手を突っ込んでやっていましたので、彼にフィルム現像を教えたのは実は私です−これは写真関係者の中での、私の唯一の自慢となっております。
彼は今までにも何冊か写真集を出してきたのですが、最近出したこの
「gazetteer」は秀逸です。写真そのものも素晴らしいのですが、寝っ転がりながらでも見られるようなソフトカバーの仕上がりで、勿論黒白なのですが、世界中の地表を撮った写真は、居ながらにして世界旅行を経験できるようで、とっても楽しいものです。思わず普段からカバンに入れておきたくなるような、不思議な写真集です。デザイン好きの人にも、旅行好きの人にもお勧めです。写真集など興味のなかった方も、是非一度御覧になっては如何でしょうか。