先週の中国株ですが、上海総合指数は続伸、深セン総合指数と創業板指数、香港ハンセン指数は反落となりました。上海総合指数ですが、週初10月24日(月)から大幅続伸のスタート。商品価格の上昇や中国政府が鉄鋼業界の2016年の生産容量の削減目標について10月中にも達成できるとの見通しを示唆したことから資源株が上昇。また、1-9月の鉄道建設投資が12%増の5100億元となったことから中鉄(00390)などの鉄道建設株が上昇した他、第18期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が開幕することからインフラ投資拡大期待が更に高まりました。翌25日(火)も特に材料はなかったものの、小幅続伸となっています。
ところが26日(水)は利食い売りに押され反落。さらに27日(木)は、この日発表された9月の中国の工業利益の伸び率(前年同月比)が7.7%増と8月の19.5%増から大幅に低下したことが市場心理を悪化させました。また、原油価格の下落で石油株や石炭株が売られたこともマイナスでした。さらに28日(金)ですが、前場は反発して推移していたものの、27日(木)に6中全会が閉幕して政策期待が後退したことと、人民元安が続いていることから中国からの資金流出懸念が拡大したことなどから後場に入り値を崩して3日続落に。結局、上海総合指数は週前半の上昇分を週後半の下落分が相殺する形となって、前週末比で0.4%上昇に留まりました。
一方、香港ハンセン指数は週後半に大幅下落となり、反落となっています。週初24日(月)は中国本土株の大幅上昇もあって、反発からのスタートとなりました。ただ、米国株が軟調に推移していること、12月の米国の利上げ懸念が高まっていること、原油価格が下落基調に転じていること、さらに前述のとおり9月の中国の工業利益の伸び率が8月から大幅に減速して中国本土株が下落したことなどを受け、25日(火)以降は4日続落となり香港ハンセン指数は前週末比で1.8%の下落となっています。特に、27日(木)と28日(金)は出来高を増しながら下落している上、27日(木)には50日移動平均線を割り込んでおり、株価は下落を示唆する弱い基調になっています。米国の大統領選、12月の利上げ判断を前に米国株も軟調な推移となる中で、その結果次第では、やや波乱含みの展開となる可能性もあるところだと思います。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)