先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は続伸、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数ですが、週初10月17日(月)は反落。後場に突然上海B株市場が急落すると、上海総合指数も影響受けて下落となりました。この日、上海B株指数は6.15%と大幅安になっています。ドルインデックスのここ最近の上昇と人民元安の急速な進展を背景に資金逃避が懸念されたなどの説明もありますが、明確な理由はわかりません。ただ、B株はもともと売買代金が少ないだけに、最初は中国からの資金流出を懸念した売りから始まり、特に明確な理由がないまま、株価が一方向に突き進んでいってしまった可能性があると思います。

しかし、18日(火)には上海B株指数は反発となっており、上海総合指数も反発。この日は人民元安が一服したことや、年末に向けて政府の財政出動が加速するとの見通しも追い風となりました。ただ、その後、19日(水)~21日(金)までは横ばいの推移となっています。引き続き、財政出動への期待は高まり、中国政府が石油関連製品の価格を引き上げたことから石油関連株が高くなる一方で、人民元安が再度加速して中国からの資金流出懸念が高まったことや、利食い売り圧力がかかったこと、上海B株が21日(金)に再び大きく下がったことが株価上昇を抑えました。結局、上海総合指数は前週末比で0.9%の上昇となっています。

一方、先週の香港市場ですが、21日(金)が台風でシグナル8(強風警報)が出たために休場となり、4営業日の取引となりました。香港ハンセン指数は概ね上海総合指数と同じような値動きとなりました。週初は人民元安の急速な進展や上海B株指数の急落でマイナスからスタートしましたが、18日(火)は上海B株指数が反発したこと、人民元安が一服したこと、欧州市場が堅調に推移したことから反発。その後も方向感のない展開が続きましたが、原油価格の上昇や中国政府が石油関連製品の価格を引き上げたことから時価総額の大きい中国石油天然気(00857)などが上昇したことや、米国で銀行株の決算が良く、市場心理を改善させたことが株価を支えました。結果として香港ハンセン指数は前週末比で0.6%高となっています。

今週の香港ハンセン指数ですが、週末に元安が一層進み資金流出懸念が高まっていることや上海B株が再び大幅安となっていることなどの不安要因がある一方、中国の財政出動への期待感も根強く、また、11月の米国大統領選挙を前に一方向に動きにくいため、先週後半に見られたような様子見基調の相場展開が続くのではと予想します。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)