Eちゃんという後輩から、今日ビールが届きました。彼は来年で創業200年になる、志賀高原近くにある清酒蔵元七代目の一人息子です。前職の外資系証券会社勤務時代に一緒に働いたのですが、とても優秀で、頭も柔軟、インターナショナルな匂いのする青年でした。雰囲気は穏やかな感じなのですが、ベンチャーな気性が強いのか、外資系金融機関を突然辞めると、今度は公募でこれまた極めて先鋭的・革命的な某アパレル企業に就職し、そこで重職を務めました。八代目を継ぐのを拒んでいるように見えたのですが、年貢の納め時と観念したのか、昨年彼はその会社も辞め、遂に実家に帰りました。その彼から、突然ビールが送られてきたのです。創業199年目にして新たにビール事業に参入したのでした。
長野オリンピックの時に、地元っ子である彼の案内で、敢えて志賀高原にスキーに行ったことがあります。ゲレンデを知り尽くした彼は、大勢の人がニッチモサッチモ行かなくなっているのを尻目に、私たちをスイスイと待ち時間なしでゲレンデ中を案内してくれました。オリンピックの時に敢えてその会場に行こうという発想がイケてます。帰京の途で蔵元にも寄らせてもらいましたが、あの古い伝統的な建物の中で、今また彼が「ビール」という大手独占のマーケットに新たな挑戦を始めたと聞くと、何とも頼もしい感じがします。チャレンジングな発想は、彼固有のものでしょうか?それとも200年続いた小さな蔵元のDNAでしょうか?「創業」は、一つの組織の中に何回でもあり得るのだということを知りました。
同梱されていた蔵元だよりには、「酒づくりはもうすぐ200歳ですが、ビールづくりはまだ一年生です。」と書いてありました。この謙遜とも、挑発とも取れる発言を添えて届けられたビールは、きっと素晴らしい味がするに違いありません。チャレンジはいつも素敵ですね。頑張れEちゃん!