先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は続落、香港ハンセン指数は反発となりました。上海総合指数は週を通して小幅な変動幅で推移。週初の8月29日(月)は当局が銀行の企業への債権を、銀行からの出資に換えるデッドエクイティスワップ(DES)案を9月にも発表する可能性があるとの報道があり、銀行の損失リスク懸念が拡大して銀行株が売られて下落スタートとなりました。30日(火)は小反発となり、31日(水)も続伸となりました。保険業監督管理委員会が保険資金6,000億元が株式市場から引き上げられるとの懸念を否定したことや、上海市が住宅価格高騰に対応するための住宅ローンの新規制を検討しているとの噂を否定したことが買い安心感に繋がりました。

しかし、9月1日(木)は小反落。この日発表となった8月の中国公式製造業景況感指数(PMI)が50.4となり、市場予想の49.8を上回ったことやCaixin製造業購買担当者景気指数が50.0となり、市場予想の50.1は下回ったものの景況感の境目である50を維持したことから株価は一時上昇していましたが、原油価格の下落の影響から、石油関連株が下がるなどして終盤に入り下落に転じました。そして、2日(金)は中国証券当局が中国本土A株市場の外国人投資枠を拡大する計画との報道などが投資家心理を改善し、小反発となりました。このように上下動が続きましたが、上海総合指数は週間で前週末比0.1%の下落と、小幅な値動きとなっています。

一方、香港株は週末にかけて大きく上昇する展開となりました。週初の8月30日(火)は米国の早期利上げの可能性が懸念され、これまで堅調だった香港の不動産株などが売られ、軟調なスタートとなりました。ただ、9月1日(木)に中国の製造業景況感指数(PMI)、2日に米国の雇用統計が発表されることを受け、様子を見る基調でもあり、大きく売られるということはありませんでした。しかしその後、欧米の株式市場が堅調に推移したことや深港通が11月後半からスタートするとのニュースから上昇基調となり、週末にかけて上げ幅を拡大させる展開となりました。

今週は米国の雇用統計が利上げの早期化を促すほど強くなかったことから、香港株は引き続き堅調な株価推移が期待できる所と思います。一方、今週発表予定の中国の経済指標ですが、9月8日(木)に8月の輸出<市場平均予想-3.9%、7月実績-4.4%>、輸入<市場平均予想-5.0%、7月実績-12.5%>がそれぞれ発表となります。この輸出入の伸び率はドルベースであるためにマイナス成長となっていますが、人民元ベースでは輸出入共にプラス成長が予想されており、やはり人民元安が中国経済にプラスの影響を及ぼしつつあることがわかります。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)