先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って反落となりました。上海総合指数は週初の8月22日(月)から、3週間振りの大幅下落となりました。政府系ファンドの株式売却への懸念が続く中、100億元超の新規上場(IPO)が認可されたことを受け、需給悪化懸念が膨らみました。23日(火)は中国国務院が向こう3年の取り組みとして、税負担や資金調達コストを引き下げ、エネルギー利用や土地、物流コストなどを削減し、労働コストを適切に管理するなどして、事業コストを引き下げ、中国企業の競争力高める計画を明らかにしたことから小反発となりました。

24日(水)は中国人民銀行が約半年ぶりの14日物リバースレポ(売り戻し条件付き債券購入)取引を実施しました。これは金融システムに資金を供給することなので、流動性が向上し、株価にはプラスに働く面もありますが、今回はより強力な預金準備率や金利の引き下げが近く打ち出される可能性が後退したとの見方につながり、株価は反落となりました。25日(木)も金融当局が銀行、証券、株式市場全体に対する監督管理をさらに強化するといった観測や、複数の大都市が急上昇する不動産価格の抑制策を検討しているとの報道があって不動産株を中心に続落。26日(金)は国家発展改革委員会が金利引き下げの余地はあると論文内で発表し、中盤にかけて大きく上昇したものの、やはり金融緩和が行われる可能性は低いとの見方に押され終盤に売られて小幅高に留まりました。結局、先週の上海総合指数は週間で前週末比1.2%の下落となり、7月以来の下げ幅となりました。

一方、香港ハンセン指数は続落とはなりましたが、週間では前週末比0.1%の小幅な下落に留まっています。中国本土株、米国株が軟調な動きとなる中で、香港株も軟調な動きとはなりましたが、中国本土株では規制懸念から不動産株が売られた反面、香港株では香港地場の不動産株や中国本土銀行株が堅調な動きとなり相場を支えました。割安感や比較的高い配当利回りが買いを促しているものと見られます。

今週の見通しですが、香港株は短期的な調整がありそうです。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が早期利上げの可能性についてコメントしたためです。しかしながら、短期的な調整で済むのではないかとも思われるところです。日欧の金融緩和により、世界的に見て流動性が潤沢な状況は続いていますし、中国も金融緩和を継続しており、中国人民銀行の局長が財政出動を政府に要請するなど、政策面への期待感もあるところです。なお、今週の中国の経済指標ですが、9月1日(木)に中国公式製造業景況感指数<市場平均予想49.9、7月実績49.9>が発表となる予定です。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)