ブッシュが再選し減税恒久化を謳い、アメリカでは雇用統計の数字が改善し、株価も上昇しています。しかし何故かドルは売られています。何故でしょうか?通常であれば、景気が良好になる→金利はいずれ上がる→為替(ドル)は強くなる、というのが連関である筈なのですが、そのように回っていません。これは不思議です。

アメリカの実力は、株価や雇用統計に見えるよりも低いということでしょうか。私は一般に、色々なメッセージが交錯している時は、為替市場の中に表現された意味を最も重要視します。何故ならば、為替市場の流動性が最も高く、最も大勢の、そして様々な意思判断者と最も巨額なお金が動いているマーケットだからです。ドルが売られるということは、アメリカの財政に対する不安があるということでしょう。即ち、イラク戦争、年金・税制改革は、ブッシュが主張するほど容易な問題ではない、或いはブッシュが再選を機にこれらの問題が解決可能だとアピールするほど、逆にそれらの問題に関して疑心暗鬼になっているのではないでしょうか。

今のアメリカの景気や株価の回復が、大統領選の為に造られたものである、即ち政府の支出がそれだけ何処かで嵩んでいるのではないか、という不安心理もあるかも知れません。これらは全て憶測で、表に見えている数字には表れていませんが、そのような憶測を為替マーケットの参加者がしているのではないかと、そう私は憶測しています。何やらこんがらがってきましたが、マーケットの謎解きはいつも楽しいものです。