昨日行われたニューヨーク・シティ・マラソンで、ポーラ・ラドクリフが優勝しました。2時間23分10秒という平凡な記録でしたが、女子マラソン界にとっては大きな出来事でしょう。ダントツの世界最速記録を持っていた彼女が、アテネで棄権。1万メートル走まで完走が出来ず、彼女のプライドと自信は粉々に破壊されていたことでしょう。しかし再びフルマラソンに挑戦し、走り切り、優勝した。彼女をここまでさせた原動力は何でしょうか?また恥ずかしいレースをすれば、プライドは更に破壊される。「世界の」という冠詞が付くランナーである彼女にとって、それは自殺行為にも近いことだったのではないでしょうか。
しかし彼女は走った。走ることが好きなのでしょうか?このまま走らずに終わる時に失うものが大き過ぎて、自殺行為になる可能性があることを自覚しながらも敢えて挑戦したのでしょうか?圧倒的な練習量から来る自信でしょうか?レース後の彼女の発言からは、答えは見つけられませんでした。
投資の神のように崇められたジョン・メリウェザー(JM)が、LTCMの破綻・緊急救済資金の完全返済を行ったあとに、再びファンドを始めた時の疑問にも一脈通じる、人の営みの不思議です。ラドクリフに真実を聞く術を私は持っていませんし、尊敬するJMにも−少なくとも今は−私には真意を聞く気持ちにはとてもなれません。しかしとても気になるテーマであり、これからも彼らの発言には注意を払い、少しでも答えを見つけていきたいと思います。