先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って続伸となりました。上海総合指数ですが、週初の15日(月)から大幅上昇で7ヶ月ぶりの高値更新となりました。万科企業(02202)や廊坊発展の株式を取得した中国恒大集団(03333)主導で不動産業界の再編が進む可能性があるとの観測から不動産株が上昇。また、深港通の認可が早ければ週内におりるとの報道があり、深セン市場や創業板も大きく上昇しました。しかし、16日(火)からは一転軟調に。国家発展改革委員会が発表した下半期の展望で、新規融資が過去最高に達しているにもかかわらず、実体経済に巨額の資金は流入していないとし、新規融資の大半が過去の債務の返済に用いられている上、金融商品への投機に廻っていると指摘された点が市場心理を悪化させました。

そして16日(火)の夜に深港通が正式認可されたものの(開始自体は12月半ばから12月末となる見込み)、17日(水)の上海総合指数への影響は限定的で、この日は利食い売りに押され小幅続落。18日(木)も中国平安保険(02318)などの決算が予想を上回ったことから高い水準で株価が推移していましたが、その後、中国証券金融を含む政府系救済ファンドが16日(火)に銀行株を売却したことが報道され、3日続落に。19日(金)は習近平国家主席がAIIB(アジアインフラ投資銀行)や一帯一路政策を基盤にインフラ投資に注力するとの意向を示したことからインフラ関連が買われ、4日振りに反発。結局、上海総合指数は前週末比で1.9%の上昇となりました。

香港ハンセン指数も上昇しましたが、米国の利上げ見通しが前倒しとなったことがやや重しに。週初は欧米の株式市場が堅調だった上、深港通への期待感から証券株などが堅調な推移となり相場を牽引。16日(火)と17日(水)は利食い売りに押された他、米国のFOMC議事録で利上げの警戒感が高まるなかで、下落。18日(木)は中国平安保険(02318)、テンセント(00700)、レノボ(00992)などの決算が予想よりも良かったことを好感して反発しましたが、19日(金)は利益確定の動きで再び反落となりましたが、香港ハンセン指数は前週末比で0.7%の上昇となっています。

今週も中国の大きな経済発表はありませんが、引き続き世界的な低金利状況の中、人民元安を材料として、堅調な株価推移を予想します。ただ、26日(金)には米国でジャクソンホールの講演があるため、香港株はその様子を見る形で小さな値動きになると思われます。なお、深港通の認可は今のところ株価に好影響を与えていませんが、MSCIの主要株価指数に中国本土株を組み入れる可能性を高めることにつながるとの見方もあり、実際に開始する年末にかけて好影響を与えてくると見ます。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)