アメリカの大統領選が近づいています。当初ブッシュ大統領の再選が濃厚だったものの、民主党のケリー氏が猛追し、現状ではほぼ引き分けのような接戦になっていることは御存知の通りです。アメリカ本来のリベラルな風を好むとケリーだが、景気を考えるとブッシュの方がいい−まぁそんなところが大勢の意見でしょうか。アメリカに於いては地域や職種などによって明らかに支持に偏りがあるのが特徴です。最近の面白いニュースでは、アダルト業界はケリー支持を鮮明に出しており、全米各地のストリップ劇場で有権者登録を促進し、同時に民主党への投票を訴えている、などというものもありました。いずれにしろ「自分の為にはどちらが大統領になる方がいいか」という判断基準で投票が行われるようです。ところで今朝の朝日新聞によると、世界10ヶ国に於いてブッシュ再選を望むかケリー当選を望むかのアンケート調査をしたところ、フランス・韓国で圧倒的にケリー支持、カナダ、スペイン、メキシコ、オーストラリア、イギリス、日本を含めた8ヶ国でケリー側で、ロシアでほぼ半々、唯一イスラエルでのみブッシュ支持とのことでした。アメリカの大統領は、或る意味で世界一権力を持った人です。世界市民がアメリカ大統領選に投票できたら、まず間違いなくブッシュは落選するでしょう。もちろん、これはナンセンスなことです。そして私は必ずしもブッシュとケリーでどちらを支持するかを述べていません。しかしアメリカ国民に、強烈な冨と力を持った国の一員としての分別を持って欲しいと感じます。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。