欧州出張を終えて帰国しました。一つ面白かったのは、UKでのミーティングで会った人が、「ヨーロッパには行くのか?」と聞いたことです。えっ?ここはヨーロッパじゃないの?と思ってしまいましたが、彼らの考え方ではUKはUK、ヨーロッパはヨーロッパで別のものなのでしょう。但しかつては「コンチネンタル・ヨーロッパ」などという呼称がよく使われていましたから、UKはヨーロッパの一部として考えていたのが、最近は敢えて別の所属として捉えるようになったのでしょう。そしてこれはUKの人による、積極的な選択です。日本はどうでしょう?かつては日本以外のアジアの地域を「ノン・ジャパン・アジア」などと呼びましたが、今ではあまり聞きません。むしろ今は、アジアというと日本を除いた地域を指すように使われているようです。しかしこれは日本人による選択ではなくて、日本以外のアジアの人による選択であったと思います。即ち、UKの場合は自らヨーロッパと距離を置いた訳ですが、日本の場合は逆にアジアから距離を置かれてしまったのではないでしょうか?考えすぎかも知れませんが、ちょっとした呼称にも、外交のゲームは始まっている気がします。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。