国が変われば規格も変わります。電話番号の決まり、電話線のジャック、電圧、コンセントの穴の形、等々。数ヶ国にまたがって移動する時は、これら全てに対応出来るように色々な道具を持って歩いたり、それぞれの国のルールを確認しなければいけませんでしたが、最近は随分事情が変わってきました。ネット接続は厄介なテーマでしたが、今は殆どのホテルの部屋にLANケーブルが引かれていたり、ワイヤレスLANが設置されたりするので、特別なアダプター等は要りませんし、ローミング先の電話番号を確認しなくても平気です。ヴォーダフォンの携帯電話はとても便利で、日本で使えるものが、そのまま海外の殆どの国で使えます。Eメールもやりとりでき、更にはUSBケーブルでPCに繋ぐと、世界中どこでも同じID、パスワード、ダイヤル番号で、インターネットに入れます。正確に言うと、既にネットワーク上にある電話機に、PCを接続すると言うことでしょう。ですから、ほんの2秒程で接続が確立するので、至極便利です。問題はACアダプターです。電圧は自動に変換されるのでいいのですが、コンセントの穴だけは未だに国毎で大きく違います。どうしてでしょうか?私は可変アダプターという優れものを持っていて、一つの道具で、ほぼどの国のコンセントにも対応出来るようにしていますが、それでもたまに困ります。このような極めてベーシック、かつ変更も技術的には簡単であろう部分の国際規格化が一番遅れる−恐らく決して統一はされないでしょう−というのは、人臭くて面白いですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。