新聞報道によると、国土交通省が道路工事の「不人気投票」なるものを始めるようです。11月に、先ずは東京23区内の主要国道の路面工事につき工事現場の看板に7桁の認識番号を入れ、同省のホームページや携帯電話のサイトにその番号を入力すれば、簡単に工事名や工事の主体、目的、工期などの情報が分かるようにするそうです。加えて不人気投票も出来るようにして、その結果をホームページ上で発表するとのこと。これは中々興味深いことです。なんで主要国道だけなのか、自ら発注した工事の内容に自信がないのか、等々、様々な議論を呼びかねませんが、私はこれは大きな前進だと思います。我が国の政治は「無謬性」を標榜してきました。「国は間違わない」−そのような考え方が、いざ間違いに気が付いた時に、容易には修正を出来ない風土を作ってきました。今回の国交省の企画は、詳しいことは未だ知りませんが、単に「工事の内容・目的を国民に知ってもらい、自己正当化しよう」という従来的な視点だけでなく、「もしかしたら間違った工事の発注や、やりかたを変えた方がいい工事もあるかも知れない。自分達だけでは気が付かないかも知れないので、国民の目を頼りにしてしまおう」という、或る意味で無責任かも知れませんが、より現実的・効率的・民主的な匂いを感じます。私の知らない隠れ玉があるのかも知れません。しかし当面は好意的にこの計画を見守って行きたいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。