今日は思いがけず、かつての師匠に会うことが出来ました。東証の市場運営委員会に出席したのですが、時間ギリギリで焦って着席すると隣には見慣れた名前のMさんが座っておられました。Mさんに会うのは、もしかしたら13年ぶりぐらいかも知れません。一通り先物、オプション、現物債券などのマーケティングやトレーディングをかじったあとに、転職した私はスワップ・デスクを立ち上げて、デリバティブ・ビジネスを構築し始めたのですが、当時は正真正銘の駆け出しで、右も左も分からないことだらけでした。デット・キャピタル・マーケッツ−社債の引受けビジネスにも携わるようになりました。外貨建債券を引き受けると同時にスワップを掛けて、国内企業の円建て資金調達を実現する仕事は、単純なトレーディングに較べて計算が遙かに複雑で、加えて発行体の事情、銀行との関係、社債市場の環境などが有機的に絡み、計算とリスク・テイクだけでも終わらない、奥深く、感情もあり、手強い大人の世界でした。ルーキーの私に、そんな世界にも正しい仕事の進め方があり、駆け引きと誠実さが両立できること、更には仁義までも存在しうることを教えてくれたのは、仕事の相手方であった某銀行のMさんでした。嬉しいことにMさんも私のことを憶えていて下さったようでした。ちょっとした出会いが、仕事の原則や哲学を変えます。いい出会いは大切にしたいですね。