昨日今日の朝刊各紙が、今後の企業買収手法の方向性について報道しています。一方で、外国企業による日本企業の買収が自社の株式を交換することで容易に出来るようになる、との見通しがあり、他方で、外国企業などによる敵対的買収の防衛手段(専門用語で言う所のポイズン・ピルなど)の検討をするとあります。これは自己矛盾ではないでしょうか?前者が法務省、後者が経産省のプロジェクトのようですが、国として足並みが乱れている感があります。私は、後者の考え方を好ましく考えていません。上場企業にとっての「買収される恐怖」は、或る意味で経営に対する健康的な牽制と刺激です。上場する以上、これは当然のことです。そもそも外資による対内直接投資(FDI)が異常に低く(先進国がどこも35〜50%程度であるのに、日本はたったの1%という現況)、それを是正していこうという大きなテーマの下に外国企業による日本企業買収を容易にしようという法改正であるのに、それに対してブレーキを掛け、防波堤を造り、現状を保存しようとする、いかにも日本的なこのような動きはいい加減止めましょう。こうして補助輪をせっせと付けた業界に限って国際競争力を失ってきたことを経産省は忘れてしまったのでしょうか。金融然り、通信然り。役所が放っておいたエレキ、カメラ、自動車などはちゃんと国際舞台で勝ち抜いてきました。投資家保護の議論も実はどこかで共通した問題があると私は考えているのですが、いつまでも補助輪を付けるのはもう止めて欲しいと思います。まるで子離れ出来ない親みたいだと思います。