先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反落、香港ハンセン指数は続伸となっています。上海総合指数ですが、先週中にロックアップ期間が終了する株式が大量に出るとの報道から週初から軟調な展開に。さらに18日(月)に中国人民銀行(中央銀行)が中期貸出制度(MLF)を通じて国内金融機関へ2,270億元(約3兆6,000億円)を供給したと発表したことから、逆に預金準備率の引き下げ見通しが後退し、週の前半は小安い展開が続きました。

20日(水)と21日(木)はゴールドマンサックスから深港通について、7-8月にスケジュールの発表があり、9-10月に稼働を開始するとの発表があったことなどから上昇しましたが、22日(金)は原油価格の下落を背景にエネルギー株が下落した他、利益確定売りに押され、やや大きく下落。結局、上海総合指数は週間で前週比末1.4%の下落となっています。先週は総じて、6月下旬からの上昇局面に対する短期的な反落局面と見ることが出来ますと思います。株価は下落していますが、出来高は減少していますので、特に売り圧力が強くなっている印象はありません。この背景には中国人民銀行(中央銀行)がきちんとコントロール出来ている中で、緩やかな人民元安が続いていることがあると思います。通貨安の恩恵を受け、今後、中国の輸出は徐々に回復してくると見ます。

一方、香港株は週を通して力強く上昇し、年初来高値を更新しました。欧米市場が堅調な上昇となっていることに加え、深港通への期待、米ドルの利上げ時期が後ろ倒しの予想となっていることなど、香港市場にはプラスの材料が豊富にある状態です。特に先週は長江実業(00001)や新鴻基地産発展(00016)などの香港地場の不動産株が大きく上昇し、指数を引き上げた印象です。

今週の中国の経済指標ですが、27日(水)に6月の中国工業セクターの利益<5月実績3.7%増>が発表されます。香港市場は年初来高値を更新したところで強い相場になっており、調整をこなしながら、どこまで株価を伸ばしていけるかに注目できると思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)