「モダンは陳腐化する」と思います。ホテルやレストランで、20年前はモダンであったろうデザインが、今では陳腐化してしまってどこか可笑しいという例をママ見受けます。しかし中には、いつまで経っても陳腐化しないデザインというのもあります。モダンはコンテンポラリーとほぼ同義ですから、或る時代に於いてその時代に即したものが、或るものは陳腐化し、或るものは普遍性を持っているということでしょうか。この両者の違いを分けるのは何でしょう?やはり機能的・合理的であり、また人の本能に順張りのものの方が普遍性を持ち易いのでしょうか。このテーマは、デザイン、音楽、文学などの芸術の領域に限らず、ビジネスに於いても同じことが言えると思います。一方で、普遍的なビジネスを造ることと、常にコンテンポラリーに変化していく仕組みを造ることは、似て非なるものとも思われ、ビジネスに於いて重要なのはどちらなのかというのも興味深いテーマです。これからの会社造りを考える時に、この複雑なテーマとはしっかりと真正面に向き合って行きたいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。