先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数は反発、創業板指数と香港ハンセン指数は続伸と、揃って堅調な展開となりました。上海総合指数ですが、週初は英国のEU離脱に伴う世界的な経済減速懸念から、先々週末に対して小幅安で寄り付きました。しかし、中国に対する経済的な影響は限定的だとする見方や、米国の利上げが難しくなったことからドル高人民元安圧力が軽減される見通しとなったことなどの考え方から、寄り付き直後にプラス圏に浮上すると、そのまま引けまで上げ幅を拡大する展開となりました。中国国内の要因としては、国家発展改革委員会が石炭と鉄鋼業界の更なる生産能力削減政策を打ち出したことで、石炭・鉄鋼会社が大きく上昇して相場を牽引したこともあります。

その後、28日(火)、29日(水)も続伸する展開に。英国のEU離脱が中国本土株に与える影響は限定的で、混乱は短期間で収束し、現在は買いの好機であるとの見方が更に拡がったことによります。また、原油価格が上昇したことを背景に石油株が買われ相場を牽引したこと、人民元安に歯止めがかかり、当局の制御下にあると確認されたことなどもプラス材料となりました。30日(木)~7月1日(金)は流石に利食い売りに押されましたが、7月1日(金)が香港の特別行政区設立記念日で、深港通(深センと香港の相が株取引制度)に関して進展があるのではないかとの期待感から下落幅は限定的でした。

一方、香港株は7月1日(金)が特別行政区設立記念日の祝日で4日間の取引となりました。週の前半は欧米の株式市場の影響を受け、軟調な展開となりましたが、28日(火)夜の欧米市場が力強く反発すると、その追い風を受けて香港株も反発。また、週の後半は特別行政区設立記念日を前にして深港通への期待感から更に力強い上昇となりました。香港株については、米国の利上げ見通しが後退したことが大きなプラスになっていることも株価上昇の要因となっています(香港ドルと米ドルはペッグしているため)。

今週の見通しですが、香港株はさすがに急反発となった後だけにどこかで利食い売りに押されるところがあると思います。その押しのあとに、更に高値を追っていけるかを試す段階となります。これには深港通の進展がどのようになるかが関わってくると思います。一方、中国本土株・香港株の共通した注意点としては人民元安が継続していることです。先週の週央で一旦収まった人民元安ですが、週末には再び加速しています。当局の制御下にあればむしろプラスの材料と言えますが、今後も継続するようですと中国からの資産流出懸念に繋がりかねませんので注意が必要だと思います。

コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)