UFJホールディングスの三菱東京フィナンシャル・グループとの統合交渉は、東京地裁によってその差し止め仮処分が決定されました。UFJは即座に異議申し立てをするようですが、この騒動の行方からは目が離せません。そもそも何故UFJが住友信託との基本合意を白紙撤回したのかから、本件は大いなる興味を惹いてきた訳ですが、ここに来て裁判官の目からもUFJは契約上東京三菱と交渉すべきではなかったと判断した訳ですから、益々興味は募る一方です。
この仮処分によって、当然各社の株価にも影響があり得るでしょうが、それ以上にやはりUFJの行動の裏にある心理や理由を推測するのが一番興味深いと思います。7月15日のつぶやきにも書きましたが、何か我々がよく知らないことがあるとの疑念を拭えません。しかし本件は極めて複雑かつ巧妙に構築されているのではないかとも思われ、推理は尽きません。願わくは、いずれ全てが露わにありのままの姿で国民に説明されることを心より願います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。