大忙しのNY出張もあと一日です。残念ながらビジネス以外の時間が全くなく、昼も夜も本来ならば是非顔を出してみたい所に全然行けてませんが、それでも何となくNYの空気は感じます。17年前、大学を卒業して研修生としてこの地に来た時は、右も左も分からない小僧でした。それから本当に色々なことをNYの人達、NYの会社から学びました。私にとってはNYは、いわば私のキャリアの故郷のような場所で、とても懐かしく、また居心地のいい場所です。さてそのNYですが、以前は東京同様激しい交通渋滞をしたものですが、今回感じたのは随分と空いてきたということです。夕方のラッシュ時でも、大通りはちゃんと流れています。一昨日、ボストンに日帰りで行ったのですが、朝、夕、それぞれの便も、かつてはパンパンであったのに、今回は普通に空席がありました。道の混み方の変化は、東京の変化(バブルの頃と今)と似ています。どうしてでしょう?地下鉄などの公共の交通手段がかつてより発達したのでしょうか?しかしそれではNY−ボストン間の飛行機の空き具合は説明できません。飛行機に関しては911の後遺症もあるのでしょうが、或いはまさに911の教訓から、人々の行動はかつてより分散化されてきたのではないでしょうか。行く場所、行き方、行く時間、等々。これら全てがかつてはもっと集中していたのでしょう。集中と分散は、ITの世界でも永遠のテーマですが、経済的にも地政学的にも繰り返されるテーマなのでしょう。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。