長期金利が上昇し始めています。金利の上昇が日本の経済や株式市場にどのような影響を与えるかは、意見の分かれるところです。
今金利が上がると、折角回復し始めた景気の腰を折る、株式市場にとっても波乱要因だ、との意見もありますが、私は基本的には殆ど関係がないのではないかと思っています。アメリカでは確かに金利の上下動に、消費・設備投資・株式市場などが敏感に反応します。しかし日本はどうでしょうか?ずっと金利がほぼ0%であったにも拘わらず、個人金融資産の大半は預貯金から微動だにしませんでした。個人消費も、個人借り入れも、企業の資金借り入れさえも、金利が下がっても伸びませんでした。それが金利が上がり始めた途端、急に資金が株式市場から逃げ出したり、消費や借り入れが停滞するとは思えません。我が国は金利に対して、全く鈍感な国なのです。一部の(金融)機関投資家だけが、ビクビクしているのではないでしょうか。但しマスコミが「長期金利上昇。景気の先行きに暗雲。」などと不安を煽ると話は別ですが。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。