今年3月3日の<内心のイメージ>というつぶやきで、フランク・キャプラの映画「スミス都へ行く」の話を書きましたが、遂に心の封印を切って、この思い出の映画をDVDで観ました。幸いなことに、内心のイメージは崩れるどころか、まさに憶えていた通りの文脈で物語は展開され、初めて観た時の感動と思いは、更に強められることとなりました。自由と民主主義の大切さと、ドン・キホーテのように体制と対峙し怯まず闘うことの尊さをジェームズ・スチュアートが身体一杯に熱演します。凡そ30年ぶりに観たジェファーソン・スミスは、私にとってのヒーローであり、未だに私にとっての規範です。
しかしここで疑問に思うのですが、このような強い感動というか意思傾向は、映画を観て感動して形成されるのでしょうか、或いはそもそもそのような傾向があるところに映画を観て感動するのでしょうか。未だに1939年作の映画の理念の埒の中に居るというのも情けない話ですが、この映画に説かれた信念だけは、いつまでも大切にしていきたいと強く思っています。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。