D−Dayからちょうど60年、昨日フランスで、連合軍によるノルマンディー上陸作戦の記念式典が開かれました。シラクはブッシュに対して、フランスはアメリカに対する60年前の恩義は忘れないと言い、一方初めて出席した独首相であるシュレーダーは、過去の過ちを認めると共に、今後の平和に対する強い決意を表明しました。
多分に外交ショーであることを割り引いて考えてみても、これは素晴らしいことだと思います。和解や平和は、偶然の産物でも、時間の経過と共に自然に醸成するものでもありません。和解は厖大な量の努力の上に生まれ、平和は長い年月に亘る努力によって形作られていくのでしょう。ヨーロッパの各国は、かつて互いに領土を争った間柄ですが、EUという経済圏を遂に作りました。昨日の式典では、イラク戦争絡みで雑音がある中でも、アメリカを呼んでかつての謝意を表し、そしてドイツの首脳をノルマンディーに招きました。これらは全て自然発生的のものの筈はなく、強烈の努力の賜でしょう。翻ってアジアの、特に日本と周辺国との関係を考える時、果たして我々は(日本も、周辺国も)これだけの努力を積んできたでしょうか?アジアが西欧から学ばなければならないことは、まだまだあると感じます。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。