どうしたらもっと日本に起業家が増えるか。そんな質問を受けました。
もっと成功例が周りに増えることが一番だと思いますが、それではどうしたら成功例が増えるかという最初の問題に戻ってしまいますから、或る意味で全く答えになっていません。起業家による起業家養成講座?これも同様の循環に入ってしまっており、解決策にはならないでしょう。
内部循環から脱却するためには、やはり外部からの刺激や影響が必要です。日本に於いては、起業家はドロップアウトか例外として扱われます。尊敬するというよりも、珍しがられる対象です。G7諸国に於いて、「新しいビジネスを興した人を尊敬するか」という調査を実施した例があるのですが、日本以外では全ての国で80%程度、日本だけが30%程度という結果が残っています。(2000年7月調査)
やはり例外としてではなく、普通に周りに起業家がいて、それなりに成功していて、自分も出来る、やってみようと思う。そういう考え方の醸成が必要です。行動を阻む最大の壁は、大体常に本人の心の中にあるものです。実際に今の日本の若手の起業家の中には、何かしらの時期をアメリカなどで過ごした人が多くいます。以前にも書いたことがありますが、留学生の大量生産は、我が国にとって色々な意味で有益であるし、費用対効果は極めて高いものだと思います。国家安全保障上も有益だと思うのですが、100人200人ではなくて、毎年1万人といった規模で国が後押ししてくれないでしょうか。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。