週末に食べたグレープフルーツに、ナイフで切られていないタネがありました。「このタネを植えたらどうなるだろう?」と思ったのですが、実はその疑問は、今から30年以上前にも思ったことです。
あの頃、グレープフルーツは大好物で、しょっちゅう食べていました。ある時、芽、いや、根が生えかけているタネを見つけた私は、今こそ疑問解消のために実行すべきだと感じ、そのタネを庭に埋めました。丁度バランス型の石油ストーブの排気管の目の前だったのが功を奏したのか、グレープフルーツは芽を出し、濃い緑色の葉を付け、ゆっくりと育っていきました。あれは3年後だったでしょうか、膝の高さぐらいまで育ったグレープフルーツの樹は、クチナシの花のような色合いの、小さな花を咲かせました。あの時の感動、花を見つけた時の最初の映像は、今でも克明に目に焼き付いています。グレープフルーツはその後すくすくと育ち、遂に二階の屋根まで届くようになりました。
最近は見ていませんが、元気でしょうか。ところであの頃、食べ物から取りだしたいくつかのタネを私は庭に埋めていましたが、これだけ成功したのはグレープフルーツだけでした。今でもうまく行くでしょうか?放射線処理でもされていて、最近の果物のタネは発芽しないのでしょうか?実験って、想像するだけでも本当に楽しいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。