名古屋で開催される勉強会で講演する為に名古屋に向かう新幹線のホーム(東京駅)でこのつぶやきを書いています。5時前に東京を出て、2時間ちょっとの仕事を名古屋でこなし、深夜までにはまた東京に戻ります。
何とも辟易するような話ですが、しかしこれだけ効率的に、これだけ離れた都市にまたがって仕事を出来るということには−これは新幹線網のお陰ですが−或る意味感嘆します。新幹線の功罪については色々な考え方があると思います。地方経済をサポートする為に造られた新幹線網が、皮肉にも地方の地盤沈下を引き起こしているという仮説についてつぶやいたことがありますが、我が国の経済全体の動向を分析する時には、このことに留意する必要があるでしょう。「景気回復は東京だけの話だ」と聞くこともありますが、地方から東京に通勤して経済活動をしている人が多くいます。
23区の昼間と夜の人口の差は300万人であり、その数は大阪市の人口を超えています。この300万人の多くは東京近郊から来ているのでしょうが、中にはもっと遠いところから来ている人もいることでしょう。そしてその人達の経済活動は、どこでクレジットされるのでしょうか?新幹線網がもたらした日本経済の構造の変化は、出張するたびに気になるテーマです。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。