2002年9月18日に<選択>というつぶやきを書きましたが、今日はそれに関連するものです。
ここ数日の北朝鮮問題に関係する報道を見ていて、どこかに違和感を感じました。私が知っている限りで、いくつかの事実を羅列してみます。若い5人は帰国した。3人は帰国できなかった、もしくはしなかったが、近々中国もしくはスイスなどの第三国で家族対面できる可能性がある。安否不明10人に関しては再調査されることになった。北朝鮮は危険なほどの貧困状態にある。日本は北朝鮮に対して食糧と医療品の支援を約束した。その国の主席は、何を考えているのか把握しにくい秘密のベールに包まれている。そして西側の首脳は殆ど誰も彼と面会したことがない。
ソウルの緯度は北緯37度34分、非武装地帯から50キロ程しか離れておらず、北朝鮮の通常ミサイルの射程距離内である。50万発のミサイルが、ソウルに照準を合わせて準備されており、最初の1時間で撃ち込むことが出来ると言われている。等々。
それぞれの人にそれぞれの立場があり、それは当然のことであり、また尊重されるべきことだと思います。一方でメディアは、客観的、網羅的に、全体像を伝え、情報の受け手が正しい判断を出来るように努力すべきだと思います。情報のパースペクティブ(遠近感)の重要性と、日本のメディアが勢いバランスを欠きがちであることは何度もつぶやいてきましたが、今回また妙な違和感を感じました。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。