先週の中国株ですが、上海総合指数は続落、深セン総合指数と創業板指数、香港ハンセン指数は反発となっています。ただ、総じて値動きの幅は小さく、小動きな展開となりました。上海総合指数ですが、5月16日(月)は反発からのスタートとなりました。14日(土)に発表された中国の4月の小売売上高や鉱工業生産は予想を下回る結果となったのですが、全人代常務委員会の張徳江委員長が17日(火)からの香港訪問の際に、深センと香港の相互株取引(深港通)のスケジュールを明らかにするのではないかとの観測が広がったことで市場心理が明るくなりました。
17日(火)も、上海総合指数は反落となったのですが、深セン総合指数や香港ハンセン指数は深港通への期待感から続伸となりました。ところが張徳江委員長は講演の際、深港通のスケジュールについて言及せず、18日(水)は各指数とも下落となりました。また、この日は米国の6月の利上げ見通しが高まる中で欧米の株式市場が下落したことも相場に悪影響を及ぼしました。19日(木)は中国政府から今後2年で石炭や鉄鋼の生産能力を1割削減する方針が打ち出されたのですが、上海総合指数は小幅続落。20日(金)は自律反発の買いも入り小反発となりましたが、小幅な上昇に留まりました。総じて上海総合指数は中国政府が金融緩和や景気刺激策に消極的になっているとの懸念から軟調な株価推移が続いている模様です。
一方、香港ハンセン指数ですが、前述にあるとおり、深港通のスケジュール発表があるのではないかとの期待感から17日(火)までは堅調に推移したのですが、張徳江委員長の講演で深港通のスケジュールについての言及が無かったことから18日(水)~19日(木)は軟調な推移に。ただし、20日(金)は自律反発となり、香港ハンセン指数は前週末比プラスで週を終えています。今週ですが、中国は大きな経済指標の発表はありませんので、中国株は欧米の株式市場に影響を受ける展開となりそうです。
コラム執筆:戸松信博
(グローバルリンクアドバイザーズ 代表取締役社長)