3年程前にイクラのことを書いたことがありますが、今日はその続編です。御存知の通りイクラは鮭の卵です。鶏とは違って、魚には産卵期がありますから当然イクラにも季節があります。一番おいしいのは今頃から1ヶ月間程だと思います。鮭は産卵する為に遠い外洋から帰ってきて生まれ故郷の川を上り、上流まで生き延びた雌雄が交尾する訳ですが、お腹に卵を持った雌は、河口が近付いてきて「川」の匂いがすると、産卵が近いことを悟り、卵の皮が固くなってくると言います。従っておいしいイクラは、川の匂いがしない沖合で捕まえた鮭の卵でなくてはいけません。しかしそもそも卵を産む為に川に戻ってくる訳ですから、あまり沖合過ぎると卵が小さかったり、皮が柔らかすぎたりします。この微妙な頃合いが、しんこと並んでとても難しい食べ物です。イクラは元々ロシア語【ikra】で魚の卵全般を指す言葉のようですが、どうして我々のあの「イクラ」が【ikra】からイクラと呼ばれるようになったかは分かりません。一方イワシ(鰯)は日本語ですが、これはロシア語の「イヴァシー」の語源だそうです。択捉島辺りに行けば謎が分かるでしょうか?