人は様々な壁を無意識のうちに立てています。などと言うと養老孟司さんの本のようですが、ちょっと違う話です(しかしその本はまだ読んだことがないので、もしかしたら重なっているかも知れません)。
高橋尚子さんが女子マラソンで2時間20分を切ると、忽ち他の選手もその壁を超えられるようになりました。スピードスケートの清水宏保さんは、「限界は自分の脳が作る」と言っており、まずイメージの世界で記録を破らないと、仮に体の能力は記録を破れるレベルに出来ていても、記録の壁は超えられないと言っています。どこかでこのような壁を我々は脳の中に作っているのでしょう。ところでこの壁は、スポーツの記録だけではない気がします。倫理というか、「起きてはいけないこと」「起こしてはいけないこと」「あり得ないこと」等についても、人は壁を自ら設定しているのではないでしょうか。凶悪犯罪の報道が、これらの壁を壊すきっかけとなっていないか心配です。メディアの在り方について、慎重に見つめ直す必要があるのではないでしょうか。