いろいろな錯覚があるものです。昔から違和感を持っているのは、空港を離着陸するジェット旅客機の目に映る速さです。都心、銀座の近くから羽田の方を見ると、ジャンポジェットがお台場の先をゆっくりと飛んでいます。近くを飛ぶ飛行機ほど速く見えます。これは飛行機の移動に呼応する観察者の目の移動角度が大きいからでしょう。しかし、飛行機が飛行機自身の長さを移動する時間は、近くを飛ぶ飛行機も、遠くを飛ぶ飛行機も同じ筈ですから、飛行機だけを見ていても速さは分かりそうな気がします。しかし遠くの飛行機はやはり遅く感じます。遠くを飛ぶ飛行機と、近くにある建物などが重なって見える為に錯覚を起こすのでしょうか。錯覚は、何も目に見えるモノだけではありません。人の言動なども、その人との距離感やその人を取り巻く背景などによって、その方向や大きさにつき簡単に錯覚を起こすものです。なべて錯覚には気をつけたいですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 、マネックス証券 ファウンダー
-
ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、その後代表執行役会長。2025年4月より会長(現任)。東京証券取引所の社外取締役を5年間務め、政府のガバナンス改革会議等に参加し、日本の資本市場の改善・改革に積極的に取り組んで来た。ヒューマン・ライツ・ウォッチの副会長を務め、現在は米国マスターカード・インコーポレイテッドの社外取締役。東京大学法学部卒業。