先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は揃って反発となりました。中国本土株は先週末の急落を引き継ぐ形の軟調なスタートとなりましたが、11月30日(月)後場から切り返しました。背景には株式市場が軟調となってきたことから、中国政府が再び株式市場の支援策を出してくるのではないかとの期待感があります。また、株価が下落したことから、上海香港ストックコネクトを通じての海外投資家からの資金流入も膨らみました。その後も12月3日(木)までは、中国国務院が住宅ローンの金利を税額控除の対象とする案を発表したことや、12月半ばに行われる中央経済工作会議(2016年の経済政策の基本方針が定められる)で新たな景気刺激策が発表されるのではないかとの期待感から堅調な相場展開が続きました。

ただし、12月4日(金)は欧州中央銀行の追加金融緩和が予想よりも弱い内容であったことを受けて反落。その他、招商証券の幹部が法令違反で逮捕されたことや、再開されたIPOの第2弾の10社が前日に発表されたことによる需給悪化懸念といった材料も相場に影を落としました。なお、中国の経済指標ですが、12月1日(火)に発表された11月の中国公式製造業景況感指数は49.6と、10月実績と市場平均予想の49.8を下回りましたが、影響は限定的でした。今週は12月8日(火)に11月の輸出<市場平均予想-5.0%、10月実績-6.9%>と輸入<市場平均予想-11.8%、10月実績-18.8%>が、12月9日(水)に11月の消費者物価指数<市場平均予想1.4%増、10月実績1.3%増>、12月10日(木)に11月の人民元建て新規融資額<市場平均予想7,200億元、10月実績5,136億元>がそれぞれ発表されます。

一方、香港市場も中国本土株と同じような展開となりましたが、上海総合指数が前週末比で2.6%の上昇となったのに対し、香港ハンセン指数は0.8%の上昇と、小幅な反発に留まりました。米国の利上げへの懸念もありますが、先週は原油価格の下落によって中国石油(00857)などの時価総額の大きな石油関連株が下落したことと、欧州中央銀行の追加金融緩和が期待外れの内容となったことが中国本土株よりも大きく影響したことがあります。中国株は先々週から一転して株価は反発しました。先々週末の下落が、暴落の呼び水になるとの危惧もありましたが、上海総合指数は50日移動平均線で綺麗に反発する形となっており、安定感が出てきました。今週も中央経済工作会議への期待を背景とした堅調な上昇が続くことが期待できます。

コラム執筆:戸松信博