日本という国は、つくづくロスカットが下手な国だと思います。戦争も、敗色が濃厚になっても行き着くところまで行ってしまい、原爆が投下されて、しかも2発も投下されてようやく終戦し、その為にソ連まで参戦してしまうというおまけ付きでした。
戦後の責任の取り方もどこか中途半端で、その為に未だに国家元首は戦没者を追悼することができません。このような性質は、戦争に限らず経済的な面でも同様に散見されます。いつまで経っても減らない毎年の不良債権処理額。新しく発生したものなのか、或いはきちんと実勢値に時価評価されてないから、毎年時価評価の圧力が増すにつれて処理額が増えていくのか、定かではありません。金融機関側だけでなく、政治家までもが時価評価をストップさせようとする。そのことに反対が多いと、生保の時価評価だけは選択制にしようなどという意見まで出てくる。要は、ロスを一気にカットできなくて、いつまでもだらだらと引きずっているのでしょう。ロスはカットても、しなくても、既に存在していることには替わりありません。しかしロスカットをしないと、次の展開に入れないという、新たな大きなロスを生んでしまいます。皆さんもロスカットは早目にしましょうね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。