アメリカ、ロシア、EU、国連の共同で起草した中東和平案「ロードマップ」が条件付きですがイスラエルの閣議で受諾されました。
もちろんこれは膨大な交渉や駆け引きのほんの端緒に過ぎないかも知れませんが、条件付きとは言え、イスラエルの閣議がパレスチナ独立国家の樹立を認めるのは、実に50年に及ぶ紛争の中で始めてのことです。しかしこれが駆け引きでないことを切に願います。誰だって知り合いや子供がテロや戦争で死んでいくのは見るに堪えないでしょう。現代に於いて国と国が毎日、しかも何年間も殺し合いを続けているのは異常です。
9・11のテロも、イラク戦争も、元はと言えばこの中東−パレスチナ問題です。日本に居ると感じませんが、ニューヨークでもパリでも、世界の至る所で、平和を脅かす嫌な雰囲気の回りにはいつもこの問題があります。紆余曲折があろうとも、きっとこのロードマップは敢行して欲しいと思います。世界経済にも株式市場にもいい影響があるでしょう。いわゆる「平和の配当」がある筈です。最近はどこもかしこもロードマップ(工程表)が流行ですが、このロードマップだけは格別だと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。