広辞苑第五版によると、介入とは「問題・事件・紛争などに、本来の当事者でない者が強引にかかわること。」とあります。為替の世界では介入というと、各国政府・中央銀行などの通貨当局が自国通貨が一方向に行き過ぎたと考えた時に、市場に於いて直接市中銀行との間で自国通貨を大量に売ったり買ったりして、望むべきレンジに為替を誘導することを言います。
例えば円ドル・レートについて日本と米国の通貨当局が協力して同方向に介入する場合もあります。これを協調介入と言いますが、一方或る一国の当局だけが行うものを単独介入と呼びます。公言して行う場合もありますし、取引先の銀行に対して箝口令を敷いて行う場合もあります。昨晩は日銀が円売り・ドル買いの単独介入をしたのではないかとの憶測が飛び、円が一気に全ての通貨に対して売られました。果たして本当に介入はあったのでしょうか?
介入という言葉は正に言い得て妙だと思うのですが、実際のところ通貨当局が当事者なのか否かは微妙です。私は常々「為替は最大の国際政治である」と考えているのですが、政治の仕方にも色々あります。協調介入ならいざ知らず、単独介入というやり方は、広辞苑通り、横車を押すようなものであり、短期的には大きな効果がありますが、その効果を持続させることは極めて難しいことが知られています。実体経済に反する介入を続けた英国政府が、最終的にはジョージ・ソロス氏に負けたことも有名な話です。
非経済的な行動というのは、最後は崩れます。株式市場に於いてPKOの効果が長続きしないのにも似ています。即効薬として介入をしながら、しっかりと構造改革を進めることと、交換レートの相手方であるアメリカ当局と対話を持ち、理解を求めていくことが肝要でしょう。

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