個人の倫理と、組織の倫理の間に大きな隔たりを感じることが多くあります。相手が民間企業でも、官庁でも、担当の人と交渉などをしていると(担当者は必ずしも現場の人でなく、責任者である場合も多いのですが)、「私個人的には同感なのですが、社としては云々」といったことを聞くことがしばしばあります。私はこのフレーズが大嫌いです。自分が納得できないことなら、まず「社」に対して主張して納得できるまで議論すべきです。もし結局「社」が考えを変えない場合は、「社」にいる間は「社」の構成員としてその考えに従うべきで、その時は「私個人的には何々ですが・・・」という言い訳がましい枕詞はつけないべきでしょう。
しかし最近更に思うことがあります。それは最終的には、個人の倫理の方が組織の倫理よりも優先せらるべきではないかということです。企業の不祥事も、国家的な暴走も、最後に止められるのは個人の倫理観だと思います。たかが個人、されど個人。本当に大事なことほど、判断の最後の拠り所は個人の倫理ではないでしょうか。我が国に於いては、昔から、組織の倫理が優先する傾向があるように思います。これは真剣に直していくべきだと思います。