我が国の状態を考えてみました。不良債権問題、不景気、構造問題、いろいろな問題が叫ばれますが、街を見るととても綺麗で、安全で、みな平和で豊かに見えます。
「日本の問題」を聞くと、いつ革命が起きても不思議でないようなのに、人々の気持ちは平和で穏やかで、凡そ革命からはもっとも遠い所にある国のように感じます。その雰囲気はまるで大きな、穏やかな、湖面がシーンと安定している湖のようです。しかし湖底を見ると、廃墟があり、グチャグチャに壊れたり汚染されている部分がある。水がたっぷりとある為に、湖底の様子とは関係なく湖面は滑らかなのです。石を投げても一旦は波が立ちますが、暫くするとまた静寂が戻ります。この水は、「裕福」「お金」という水です。水が減って、湖底が現れてこないと、人々の気持ちは変わらないのでしょうか。或いは湖水に強いライトを当てて、中を透かし通して見せれば変わるでしょうか。日本の現状は、滑らかな湖面だけでもなく、醜い湖底だけでもなく、その双方が両立している所に分かりにくさがあるのでしょう。しかしこのままだと水はいずれ涸れます。湖面が低くなってから湖底を掃除すると、湖水は完全に汚染されてしまうでしょう。まだいっぱいの水を湛えているうちに湖底の掃除をすれば、それほど濃く水は汚れないし、仮に濁ってもまた透きます。せめてライトの役割だけでも果たしたいと思います。