G7が閉幕しました。G7と言えば、かつては為替相場や各国の金融市場などに即座に大きな影響を与えたものですが、今回のG7はどこかパッとしないものでした。
為替についても特に深い議論もされず、要はブッシュ、ブレアといった大将があの手この手で「ザ・国際政治」をしている時に、財務相や中央銀行総裁ではなかなか突っ込んだ議論も決定も出来なかったのでしょう。そんな中で、これから始まる国連安保理や6月のサミット、国際世論の前哨戦として、イラクの復興支援の資金問題が大きなテーマとして取り上げられました。前座として政治に使われた感があります。湾岸戦争時に日本の資金負担は20%でした。今回は何%になるでしょう。今回は多国籍軍ではなく米英軍であり、G7の中で唯一当初から米英を支持したのは日本です。北朝鮮の問題もあります。そう考えると今回は3分の1くらい行くでしょうか。戦費で10兆円。復興支援は少な目に見ても20兆円、合わせて30兆円の3分の1で10兆円。不良債権問題の解決に必要と思われるような額が、急にまた降って湧いてくる訳です。しかも湾岸戦争当時よりも我が国の財政状態は大きく悪化しています。当面はこの問題の行方から目が離せないですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。